産婦人科治療

子宮がん検診

子宮がん検診は、大きく子宮頚がんと子宮体がんの2つの検診があります。
一般的な子宮がん検診は、子宮頚がん検診のみの検診が多いようです。

子宮頚がん

子宮頚がんによる死亡率は、近年減少傾向にあると言われています。その理由として、子宮頚がんに対する治療法の格段の進歩によるものと考えるかもしれません。しかし子宮頚がんに対する治療法はここ20年間でほとんど進歩していないと考えられます。
その証拠として20年前の子宮頚がんの各進行期に対する死亡率は、現在のものと比較してもほとんど変わっていない事です(子宮頚がんの5年生存率、Ⅰ期:84.2%、Ⅱ期:64.3%、Ⅲ期:40.5%、Ⅳ期:13.3%)。
では子宮頚がんの死亡率が減少した最大の理由は、進行がんで発見される頻度が減り、進行期が0期やⅠa1期などの手術でほぼ完全に治療できる状態で発見される患者さんが多くなった事です。これは、子宮がん検診が一般的に普及したためで、そのような意味で子宮がん検診の果たした役割は非常に大きいと言ってよいと思います。子宮頚がんの場合、不正性器出血、接触出血、異常帯下などの症状が発見される事が多いと言われていますが、初期がんの場合(0期、Ⅰa1期)約70%以上は無症状に経過する事が多いといわれています。
上記の症状が出現したときは、約90%近くはかなり進行したがんと考えられます。このことより子宮がん検診は、症状が無くても受診する事が大切だとお分かりいただけると思います。
子宮頚がんは、近年若年化の傾向が見られるといわれています。最近新聞でも載ったように、子宮頚がん患者で29歳以下の割合は、85年の1.3%に対して、90年2.9%、95年3.3%、99年3.8%と増加していると言われています。また1966年~2001年までの29歳以下の子宮頚がん発見率は、受診者1000人あたり2.67人と他の年代よりも多かった事がわかりました。以上より、20歳から子宮がん検診の受診をぜひお勧めします。
子宮頚がん検診は、子宮の入り口部分から木製のへらで細胞を取ります。所要時間は数秒(約5~6秒位)で殆ど痛みはありません。札幌市のがん検診は、20歳以上の偶数年齢が対象になり1400円で受ける事が出来ます。2年に1度は必ず受診される事をお勧めします。

子宮体がん

子宮体がんは、子宮の内膜より発生したがんです。一般的に子宮の頚部から発生した子宮頚がんは、扁平上皮がんで子宮体がんは腺がんと言われており、全く組織の形状が違うのです。
体がんは乳がんと類似し、女性ホルモン(エストロゲン)に依存する腫瘍で、疫学的に妊娠経験が無い方、肥満の方、閉経後、月経の不順(特に稀発月経)の方、糖尿病、高血圧の方、乳がんの既往のある方に多く発生すると言われています。以前は、子宮頚がんと比較し日本人に少ないがんでしたが、最近の欧米化の影響か、増加傾向を認めております。
子宮体がんの症状として、多くは性器出血です。この際には超音波診断層を行い子宮内膜の状態を確認し、内膜が厚くなっている場合は、子宮の入り口より細いブラシを挿入し内膜細胞の採取を行います。若干の痛みがありますがこちらも数秒で検査は終了します。
札幌市の子宮がん検診では、20歳以上を対象に、子宮頚がん検診と子宮体がん検診を一緒に2,100円で行うことができます。
その他、子宮鏡というファイバースコープを子宮口より挿入し、子宮内膜の病変を観察する方法もあります。当クリニックでは、直径3mmの最小のファイバースコープを使用し、痛みの少ない診察を心がけています。