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閉経前後から子宮体癌に注意しましょう

2021.05.11

子宮体癌は、子宮体部に発生する悪性腫瘍です。子宮体癌の発生部位から分類すると、子宮内膜から発生する子宮内膜癌、子宮内膜間質から発生する子宮内膜間質肉腫、そして子宮筋から発生する子宮筋肉腫に分類されます。この中でも圧倒的に頻度が高いのは子宮内膜癌で、近年劇的に罹患率が増加しています。子宮内膜癌の罹患者数は、1975年 1.6/10万人、1995年 7.3/10万人、2015年 22.2/10万人となってきており、子宮癌の約6割(子宮頸癌;約4割)をも占めています。 このような背景には、肥満、糖尿病、高血圧症の増加などや食生活の欧米化などがあると考えられています。
子宮内膜癌には、主に2種類のタイプに分類されます。
1つは、子宮内膜上皮内腫瘍(endometrial intraepithelial neoplasia; EIN)で子宮内膜癌の約7割を占め、閉経後の女性に多く認めます。進行は緩徐で性器出血などの自覚症状を認めることが多いため、早期診断され予後は良好です。女性ホルモン(エストロゲン)が関与して癌に進展します。
2つ目は、子宮内膜上皮内癌(endometrial intraepithelial carcinoma; EIC)で子宮内膜癌の約3割を占め、閉経後の女性に多く認めます。進行が速いため、Ⅲ期、Ⅳ期の進行癌(低分化型類内膜腺癌、漿液性癌が多い)で発見され予後不良です。このタイプは、女性ホルモン(エストロゲン)が非関与の癌と言われています。
子宮内膜癌のいずれのタイプも、閉経を境に発生率が増えていることから、閉経前後の不正出血には特に注意が必要と考えます。