医院トピックス

産婦人科疾患と生活習慣病について

2021.03.25

近年の疫学調査の中で、産婦人科が関与する疾患と将来的な生活習慣病との因果関係が報告されました。まずは、産科的な観点からのお話ですが、妊娠期の低栄養による低出生時体重児(2500g以下)は成人期で高血圧症や虚血性心疾患、糖尿病のリスク因子になることは、1980年代後半、Barker DJらにより報告されました。同様のデータは日本でも報告され、出生時体重(3000~3499g)と比較すると糖尿病の発症率が2.34倍上昇すると報告されています。これは、胎児期に低栄養環境にあるとそれに適応するように、エネルギー代謝や内分泌調節を行うとともに、倹約的に働く遺伝子が発現することが原因と考えられています。そして成人期に向かい栄養状態が好転するとこのような生活習慣病が発現することになるのです。またこれに類似する現象として、思秋期の「やせ」は思秋期「肥満」とともに2型糖尿病のリスク因子になることも報告されています。
次に婦人科的観点からのお話をします。卵巣機能不全による不妊を経験した女性は、45歳未満での高脂血症(1.42倍)、糖尿病(2.92倍)、45歳以上の高血圧症(1.65倍)、高脂血症(1.39倍)の上昇が報告されています。生殖可能年齢が33年未満かつ初経年齢が11歳以下の女性では、非致死性心血管系疾患の発症リスクが20.6倍上昇すると報告されています。このため、生殖可能期間が短い、初経が早い、閉経が早い女性は、心血管系疾患の予防を兼ねた生活保健習慣を身に着けることが重要と考えます。
婦人科の代表的な疾患で見てみますと、子宮内膜症の既往の場合、卵巣がん、子宮体癌、脳梗塞。子宮筋腫の既往の場合、大腸がん。片頭痛の既往の場合、一過性脳虚血症、骨粗しょう症、脳梗塞、狭心症の増加に寄与するとの報告があります。