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婦人科癌サバイバーへのホルモン補充療法について

2023.01.23

本国における婦人科癌サバイバーは年々増加しており、子宮頚癌、子宮体癌、卵巣癌などを合わせると40万人に迫る状態と考えられています。
他領域の癌と比較して、婦人科がん治療では、閉経前に両側卵巣摘出術が選択されることが多いことからこの外科的閉経に伴う底エストロゲン状態による症状などの問題が生じます。自然閉経では、卵巣の加齢に伴って徐々に内分泌機能が失われているのに対して、外科的閉経では手術によって突然閉経状態になることから、自然閉校と比べて更年期様症状が強く現れるといわれています。
では自然閉経と外科的閉経を比較したものとして、自然閉経と比べて外科的閉経では、心臓血管系疾患のリスクが優位に高い(Hickey.M、2010)、外科的へ移行したもののほうが自然閉経に比べて骨梁が優位に低下する(Qzdemir.S,2009)、乳癌予防のため施行される両側卵巣摘出術によってメタボリック症候群のリスクが優位に上昇する(Mishelsen.TM,2009)、閉経後の両側卵巣摘出術は将来のうつ及び不安リスクを優位に上昇させる(Rocca.WA,2008)、外科的閉経年齢が若いほど認知機能が低下する(Bove.R、2014)との記載を認めます。一般に卵巣が残っていれば、閉経後でも65歳くらいまでは低レベルであってもエストロゲンの分泌が続くことから、出来るだけだけ卵巣の温存も考慮したほうが良いと考えます。
各婦人科癌サバイバーのホルモン補充療法が有効だったとの報告がされている、婦人科癌の場合は、両側卵巣摘出術と子宮全摘術をなされていることが多いため、ホルモン補充療法はエストロゲン補充療法が中心になります。
【子宮頚癌】ホルモン補充療法が、癌サバイバーに対して再発リスクに優位差が無いと報告されています。本邦でも若年者ほどホルモン補充療法のメリットが高く、推奨されています。
【子宮体癌】海外での子宮体癌治療後のホルモン補充療法にて、ホルモン補充療法を施行後の再発リスクは優位な低下(オッズ比;0.53)を認めており、本邦でも推奨されています。
【卵巣癌】卵巣癌サバイバーについては、2020年のCochraneレビューでの報告では、治療後のホルモン補充療法の有効性を認め、Power.L(2016年)やEeles.RA(2015年)らの報告では、ホルモン補充療法による無病生存率などの優位さはなく、逆に再発リスクを優位に減少させたと報告しているころから、本邦でも推奨されています。しかし、術後早期からホルモン補充療法を行う際のエビデンスがないため慎重に対応すべきだという意見もあります