婦人科がんの最新の動向とその予防法
2016.12.13近年、日本国内の婦人科癌(子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌)の動向に大きな変化が認められています。2014年1月1日~12月31日の統計上、婦人科癌の罹患数は年間約3万人と言われています。その罹患率は、子宮体癌38.3%、卵巣癌(境界悪性型を含む)31.4%、子宮頚癌29.8%となっております。20年前までは、婦人科癌の約半数以上が子宮頚癌だったことを考えると驚くべき変化です。では、各々の癌の最近の動向について解説します。
子宮頚癌は、すべての年齢帯に比較的均等に認めていますが、20~30歳代の罹患率が増加しており、若年化の傾向にあります。現在、子宮頚部高度異形成(以下SD)や上皮内癌(以下CIS)は、子宮頸癌の統計に加えられなくなりましたが、手術など治療対象となるSDとCISを加えると、全婦人科癌の54.8%と半数以上になります。SDやCISは完治できる癌ですが、放置した場合2年以内に進行癌になる可能性があります。CISを含めて子宮頸癌の主な症状は不正出血ですが、70%以上は無症状のため子宮頚癌検診を受けるのが唯一の検査法になります。
近年、子宮頚癌の罹患率は減少ないし横ばい状態であるのに対し、子宮体癌の罹患率は、著しい上昇を認めております。子宮体癌の特徴としては、40歳以上の罹患率が94.8%であり、50~60歳代が増加しています。
卵巣癌(境界悪性型を含む)も近年増加してきた癌で、子宮頚癌の罹患率を超えました。すべての癌の中でも最も多彩な癌で、各年齢帯で罹患する可能性があります。卵巣癌の多くは無症状のため、卵巣癌が見つかった場合、70.9%はお腹の中に癌細胞が広がった状態のため、とても予後の悪い癌とされています。卵巣癌を見つけるためには、第一に超音波(エコー)検査が必要です。
それでは、これらの婦人科癌の特徴からその予防法について考えます。まずは症状がない場合でも1~2年に1回程度、20~40歳代までは子宮頚癌検診と超音波検査を行い、40歳代以降から子宮頚癌・子宮体癌検診と超音波検査を受ける事で、多くの婦人科癌の予防ができると考えます。健康診断の血液検査で、癌腫瘍マーカー検査をして安心されている方がいますが、癌腫瘍マーカーが上昇するのは進行がんの場合だけですのでご注意ください。