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女性に多いむくみのお話

2011.03.29

むくみは、男性にも女性にもおこる症状です。その中でも特に女性の多いむくみについてお話をいたします。一般にむくみには、局所性のむくみと全身性のむくみとがあります。局所性のむくみは、腕や足(片側または両側)に起こるむくみで、多くは左右差を認めることが多いものです。その中の1つは、静脈瘤や静脈血栓症から出てくる血管性浮腫です。30歳以上の女性の約60%位に静脈瘤があると言われており、長い間の立ち仕事などでひざ下部分にむくみや痛みが出てくる場合、静脈が浮き出てくる場合は、これが疑われます。もう1つは、婦人科癌(乳がん、子宮がん、卵巣がん等)の術後に発症することが多い、リンパ浮腫です。リンパ浮腫は、婦人科癌の術後に17~20%の可能性で発症するといわれております。特に、手術の際に広範囲のリンパ節摘出を行った場合、手術+放射線療法を行った場合に優位に増加する傾向があります。手術後、3年以内に症状が出ることが多いですが、20年以上経過してからも症状が出てくる場合があるので注意が必要です。がんの手術を受けたことのある患者さんでむくみが出てくる場合はこの病気の注意が必要です。

全身性のむくみは、全身または下半身に左右がほぼ均等にむくみが出てくるのが特徴です。このむくみの中には、最近話題になっている、月経前症候群(PMS)も含まれます。月経の10日前後から症状が出現し月経が来ると共に症状が軽減するものです。月経前に、体重の変動が2kg以上ある場合は、治療の適応になります。甲状腺機能障害(亢進症、低下症)によってもむくみができることがあります。この浮腫の特徴は、圧痕(皮膚を押して凹む状態)が残らないのが特徴といわれています。甲状腺機能低下症の場合は、全身の倦怠感やうつ症状、悪寒症状を伴い更年期と勘違いする場合もありますので注意してください。膠原病の中でも全身性エリテマトーデス(SLE)や慢性関節リウマチによる腎障害からもむくみが発生する事があります。
このように、むくみにはいくつかの原因があり、このむくみに対して適切な治療の必要があります。局所性のむくみの場合は、多くは局所の圧迫治療が有用です。手術後に発症したリンパ浮腫も、局所圧迫治療の有効性(有効率87%)が国でも認められ、2008年4月から圧迫ストッキングの保険適応になりました。また、全身性のむくみの場合も、いくつか病気が潜んでいる場合がありますので、心配な場合は専門医での検査などを受けるようにしましょう。