ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種回数について最近の話題
2025.02.16
1982年、ドイツのノーベル賞学者、ハラルド・ツァ・ハウゼン(Harald zur Hausen)が子宮頸がんの原因としてヒトパピローマウイルス(以下HPV)を発見し、子宮頸がんの予防につながるワクチンの開発に貢献しました。それから、まず2価ワクチン(サーバリックス)と4価ワクチン(ガーダシル)が発売され、現在は、9価ワクチン(シルガード9)を中心に接種が進められています。日本国内のワクチンのガイドラインでは、HPV感染予防のため、いずれのワクチンにおいても3回の接種が促されています。現在接種の中心になっているシルガード9は、1回目の接種をした2か月後に2回目、6か月後に3回目を接種するスケジュールになっています。これにより、子宮頸がん及びその前がん病変(子宮頚部異形成)や外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍の約90%と尖圭コンジローマの予防ができることになります。
以前より、アメリカの米疾病対策センター(CDC)の予防接種実施諮問委員会(ACIP)では、HPVワクチンの接種回数とその有効性に対しての検討がなされていました。そして、9~26歳は2回の接種でも3回接種に劣らない効果があることを発表していました。現在提唱されているのは、9~26歳は2回から1回へ、27~45歳に対して3回から2回への削減が推奨されています。接種回数を減らしても有効性が損なわれないという研究報告をうけて、世界保健機構(WHO)でも、2022年に9~20歳のワクチン回数を1回にする提案がなされました。
実際に2024年に発表された90万例以上の大規模ラ ンダム化比較試験(RCT)の報告では、最低でも8年間の間、1回のHPVワクチン接種と2・3回のHPVワクチン接種した効果を比較したところ、同等の免疫原性が維持されたことが示されました(PLoS One 2024;19:e29080)。
現在、世界では男性へのワクチン接種が推奨され実践されてます。現に日本でも厚労省が男性の接種を促していますが啓蒙活動の不備のためかなかなか実践に及んでいない状態です。もしCDCの報告通り、1回の接種であればもう少し男性の接種が増えてくるのではないかと期待するところです。全世界的に子宮頸がんが希少がんにするためには、男女ともにHPVワクチンの接種が必要になると考えます。