元気な老後を過ごすため
2015.11.17日本では現在、介護が必要になった原因の第3位に「関節疾患、骨折、転倒」が入っており、脳血管障害の24.1%、認知症の20.5%に次ぐ16.7%を占めています。大腿骨近位部骨折を起こすと、25%が介護施設に入ることになり、20%は1年以内に死亡すると言われています。また、椎体骨折も死亡率を増加させ、3つ以上の椎体骨折を経験した人の死亡率は、骨折の無い人の約4倍に達します。以上より、骨粗鬆症の死亡率は、乳癌、肺癌、胃癌を合わせた死亡率より高くなっており、骨粗鬆症はサイレントキラーとも呼ばれています。
日本人の骨粗鬆症の有病者は人口の1割(約1280万人)と想定され、そのうち76.6%(980万人)は女性です。女性の場合は、閉経後5~7年で女性ホルモンの低下に伴い、2~5%の骨が失われると言われています。今後、高齢化に伴い有病者は更に増加すると考えます。
骨粗鬆症の症状としては、身長が2㎝以上縮んだ人や背中が曲がった人は、椎体骨折(患者数約380万人)を疑いますが、そのうちの2/3(約253万人)の人は骨折を認識しておりません。このように、自覚症状が乏しい事から、閉経後の女性や続発性骨粗鬆症の原因になる、性腺機能不全(月経不順など)、甲状腺機能亢進症、関節リウマチ、ステロイド服用者、糖尿病、慢性腎不全などの人は、原疾患の治療と同時に骨密度測定することをお勧めします。脆弱骨折が無い場合でも、骨密度検査でYAM(若年成人平均値、20~44歳)の80%未満の場合は、10年以内の骨折リスクが15%以上で、治療の対象となります。しかし現在の日本では、骨粗鬆症にて医療機関で治療するのは僅かに8.2%(約31万人)で1年後にその4%(約15万人)が処方通りの服薬ができず、5年後には更に4%(約15万人)が服薬を中止しているのが現状です。
最近は、骨粗鬆症に対して特徴を持った薬が多数開発されており、更年期症状を伴う女性に対してホルモン補充療法の有効性も確立されている事から、年齢や症状に応じた治療ができます。ぜひ、元気な老後を過ごすため主治医とご相談してみて下さい。